新型コロナでより深刻度が増した貧困問題、それに追い打ちをかけるインフレの嵐――。ただでさえ厳しい暮らしを強いられている低所得者層の生活が今、インフレによって脅かされている!
◆全世帯が絶叫! 値上げの本番は今年の夏以降に訪れる
春先から始まった怒涛の値上げラッシュは、単なる序章にすぎない。その理由について、経済評論家の加谷珪一氏はこう分析する。
「4月に行われた値上げは、昨年に値上がりした原油価格や資材価格を反映したものに過ぎません。ロシアのウクライナ侵攻によって生じた燃料や原材料の高騰分が価格に転嫁されるのは、今年の夏以降になります」
これまでの値上げは食品や電気など、原材料費の高い商品が中心だった。しかし夏以降は、自動車、家電、住宅など、原価率の低いものにも波及していくという。さらに、ウクライナ問題が解決しても、円安物価高はしばらく続く可能性が高いとか。
「新興国の台頭で食料・資材の世界的な需要過多、米中対立による仕入れコストの上昇、コロナ禍での物流の停滞など、物価高を誘発する構造的な問題は根深い。近い将来、解消される材料はどこにも見当たりません」
◆年収400万円以上の世帯の生活もひっ迫する恐れ
今後も円安物価高が続けば、低所得者層の上の世帯、つまり年収400万円以上の世帯の生活もひっ迫する恐れがあるという。
「インフレで消費が伸び悩めば、当然、労働者の賃上げは現実的ではない。給与は良くて据え置きでしょう。あらゆる物価が値上がりし続けるという出口の見えない修羅場が多くの世帯を苦しめることは容易に察することができます。長期間にわたってモノの値段が上がるので、一円でも安い代替品をという、今までの節約術もまったく通用しません」
インフレがもたらす生活苦は、もはや他人事ではないのだ。