2022/11/10 11:34
【年金だけで介護費用は足りるのか?】
介護を続けていく上で大事なことは、基本的に、介護される本人のお金で介護にかかる費用を賄うことです。
しかし、貯金や資産もなく、年金しか収入がないという状態で介護が必要になった場合、費用面で不安になるでしょう。
介護費用はいくらかかるのかシミュレーションしてみましょう。
介護費用はいくらかかるのか
介護保険制度で、介護サービスの自己負担は、所得に応じて1割~3割までとなっています。
そして、約9割の方は、介護サービスを1割負担で利用しています(下図参照)
介護サービスを受ける場合、ほとんどの方が介護保険で9割は賄えるものの、使える金額には介護度に応じて限度があります。
生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」によると、実際に月々の介護費用として支払った額の平均額は7万8,000円でした。
また、回答の中で最も多かったのは、「15万円以上」の15.8%です。
先に説明したように、介護保険では、介護度によって支払限度額が設定されているため、その範囲内で賄いきれない分に関しては、10割負担でサービスを受けることになります。
そのため、限度額内でやりくりできれば、支払額は自己負担額の範囲内となりますが、限度額だけでやりくりができない場合、その分介護に支払う額は増えていくわけです。
また、介護が始まるときに、初期費用がかかる場合もあるでしょう。
例えば住宅を介護しやすいようにリフォームしたり、中には介護用ベッドを購入したりする人もいます。このような初期費用の平均は69万円。
「掛かった費用はない」という人が15.8%いる一方で、「200万円以上」掛かったという人も6.1%います。
ていますか?親の年金受給額
介護の初期費用は、貯蓄で賄ったり、可能な範囲内で収めたりするにしても、その後、介護の期間中にかかるお金は、全額年金で賄いきれるのでしょうか。
平成30年の厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の受給者に係る老齢厚生年金の平均年金月額は、1人あたり14万6千円。
そして国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は、5万6千円となっています。
あわせると、会社員の場合なら20万円以上ありますが、この金額はあくまでも平均です。
厚生年金の部分は、人によって金額が異なりますし、勤務年数や収入によって異なります。
実際に親がもらっている額を知るには、年金振込通知書を確認するのが一番です。
年金を受給するようになると、毎年6月に届き、ここに一回に支払われる年金額、介護保険料などの社会保険料や所得税・住民税などの天引きされる額、実際に振り込まれる金額が書かれています。
自己負担額分となるべく年金月額に応じた費用で抑えておくように工夫することが大切でしょう。
老人ホームなどの介護施設に入居する場合は、さらに費用が高くなる可能性があります。
入居時、親の年金額を念頭に入れてその金額で賄える施設を探すことが肝要です。
老人ホームへ入るにはいくら必要か
入居する地域でも費用は大きく変わるため、施設費がいくらになるか一概には言えません。
下記は有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の費用相場をまとめたものです。
住んでいる地域の相場はいくらなのか参考にしてみましょう。【LIFULL介護調べ】老人ホームの費用相場
また、費用の内訳はやや複雑です。その仕組みを理解し、実際の費用については希望する施設のホームページなどを参照し、見当をつけるのがよいでしょう。