年金額が令和4年4月分(6月15日支払分)より原則0.4%引き下げになりました。
それでは、高齢者は実際にどのぐらいの年金を受け取っているのでしょうか。
また、公的年金収入だけで暮らしている世帯がどれぐらいの割合なのかが気になる人も多いでしょう。
ここでは、厚生労働省や日本年金機構の調査結果をもとに、夫婦2人の年金受給額の平均を見ていきます。
また、年金だけで暮らす高齢者世帯がどのぐらいの割合なのかも説明します。
老齢厚生年金の受取額の平均は1ヶ月14万4366円
厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金受給者が1ヶ月に受け取っている老齢基礎年金の平均額は、5万6252円です。
また、厚生年金保険に加入していた人が受け取っている老齢厚生年金の平均額は、1ヶ月あたり14万4366円となっています。
このことから、例えば夫が会社員で妻が専業主婦あるいは夫の扶養範囲内で働いてきた場合、この金額を当てはめると、1ヶ月に受け取る年金は夫婦2人合わせて20万618円になります。
また、日本年金機構では、夫が平均的な年収で40年間就業した場合、夫婦2人分の標準的な年金額を21万9593円(令和4年年度)としています。
老齢基礎年金の額は毎年見直されていますが、これらのことから、夫婦2人の場合、20~22万円を1ヶ月に受け取ることになるでしょう。
さらに、厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の男性で老齢厚生年金を受け取っている人の平均額は17万391円、女性で10万9205円でした。
このことから、夫婦共働きで双方が平均的な老齢厚生年金を受け取った場合、1ヶ月の年金収入の合計が27万9596円ということになります。
一方、国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人が加入する国民年金保険については、満額をもらえたとしても令和4年度は月額6万4816円です。
夫婦2人が第1号被保険者で、平均額の5万6252円をもらった場合、2人合わせても月額11万2504円しかもらえません。
公的年金収入のみで生活する高齢者世帯は48.4%
厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、全世帯に占める高齢者世帯の割合は28.7%です。
この高齢者世帯のうち48.4%が公的年金の収入のみで生活しています。
ここから全世帯に占める公的年金収入のみで生活する高齢者世帯の割合は、13.8%となりました。
世帯主が65歳以上の世帯では、1世帯あたりの平均年収が552万3000円で、1人あたりに換算すると222万3000円となり、平均的な世帯年収より低くなることが分かっています。
特に世帯主の年齢が70歳以上の世帯になると平均的な世帯年収が394万6000円、1人あたりの平均年収は190万1000円と下がることが分かっています。
一方、高齢者世帯の80.1%が「貯蓄がある」と答えていて、3000万円以上と答えたのが10.8%、2000万~3000万円が7.8%、1500万~2000万円が5.6%、1000万~1500万円が9.6%という結果になりました。
つまり、高齢者世帯の33.8%が1000万円以上の貯蓄があるということです。
このデータから、公的年金収入だけで暮らす多くの世帯が、何らかの蓄えがあることがうかがえる結果となりました。
公的年金収入のみで暮らす世帯は48.4%
例えば、妻が会社員や公務員の夫に扶養されている世帯の場合、1ヶ月に受け取る年金の平均額は20万618円です。
厚生年金保険の平均受給月額は、男性が17万391円、女性が10万9205円となっています。
また、厚生年金保険受給権者全体の1ヶ月あたりの平均額は14万4366円です。
なお、高齢者世帯に占める、公的年金収入だけで暮らす世帯の割合は48.4%で、全世帯の13.8%。高齢者世帯の8割が「貯蓄がある」と答えていて、公的年金収入だけで生活するためには蓄えが必要であることがうかがえる結果となっています。
このデータから将来もらえる年金額が足りないと感じたら、できるだけ早く、少しずつでも将来に向けて準備を進めていきましょう。
出典 厚生労働省年金局 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について 厚生労働省 2019年国民生活基礎調査の概況世帯数と世帯人員の状況 厚生労働省 2019年国民生活基礎調査の概況