2022/12/01 10:00
東京23区年収ランキング…1位「港区」と23位「葛飾区」、思わず唖然とする給与格差
男女で、学歴で、会社の規模で…格差広がる「日本人の給与事情」
原油価格の急騰、四半世紀ぶりの円安水準、そして連日の値上げのニュース。
幅広い日常品の値上げラッシュに家計負担の増加も身に染みる、今日この頃。
さらにこの夏以降、コスト高を吸収できず、さらに価格に転嫁されていくといわれていますから、そろそろ、我慢の限界といったところでしょうか。
街中では参議院選に向けて、物価高騰対策が大きな争点になっていますが、専門家は「各党とも場当たり的」と分析。
またいつものように期待するだけで終わってしまうのか、それとも実行され、私たちの生活が楽になるのか……ぜひとも、後者であってほしいと願わずにはいられません。
そもそも急激な物価上昇も、私たちの給与がそれに伴い上がってくれれば問題のない話。
ただ各方面でいわれている通り、日本人の給与はこの30年停滞気味。
その間、規制緩和で非正社員が増加したこと、働く女性や高齢者が増えたことなど、労働者の構造が変わったことで、数値的に停滞しただけ、という意見もあります。
確かに「給与額の停滞」よりも「給与格差の広がり」のほうが、実感としてあるかもしれません。
たとえば男女差。厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、男性会社員の推定年収は546万円に対し、女性会社員の推定年収は385万円と、その差は161万円。
また同じ男性会社員でも、高卒の推定年収は478万円、大卒の推定年収は631万円、大学院卒の推定年収は793万円。最終学歴が高校か、それとも大学かで、153万円もの給与差が生じています。
企業規模ではどうでしょうか。
従業員規模10~99人企業に勤務する男性会社員の推定年収は454万円。
一方、従業員規模1,000人以上企業では643万円。企業規模によって給与差は189万円になります。
さらに雇用形態による格差もさらに大きなものがあります。
男性正社員の推定年収は571万円。
一方、男性非正社員では342万円と、その差は229万円。
積極的に非正社員を望んでいるのであればいいのですが、望まざるして非正社員という人にとって、この格差は残酷です。
都心の「港区」と下町の「葛飾区」…給与差3倍
さらに居住する地域によっても、給与格差は生じています。
都道府県別にみていくと、推定年収のトップは「東京都」で595万円。
一方、47位は366万円。同じ日本でも、229万円の給与差があります。
また「東京都」といっても、区が23、市が26、町が5、村が8と、62の市区町村があります。
23区だけみても、住んでいる人、働いている人はまったく違いますから、年収事情も大きく違いことは想像するに難くないでしょう。
総務省『令和3年度課税標準額段階別所得割額等に関する調』で、東京都23区、それぞれの年収事情をみていくと、トップは都心に位置する「港区」で1,184万6,562円。
23区で唯一、1,000万円の大台を突破しました(関連記事:『最新「東京23区平均年収ランキング」…2021年度データで算出』)。
「港区」といえば、青山や白金など、全国区の高級住宅地が点在。さらに高さ60m・20階以上の高層マンション、いわゆるタワマンが多く集積し、成功者が住むエリアというイメージが強いエリアです。
東京商工リサーチ『全国「社長の住む街」調査』では、住民の7人に1人は社長という、驚くような結果が出ています。
一方で23位は東京都の東部に位置する「葛飾区」で356万8,147円。
1位「港区」とは、同じ23区とはいえ、実に3倍近くの給与差が生じています。
同じ23区でこの給与差。その原因は色々と考えられますが、そのひとつが就業構造。
「葛飾区」をはじめ下町は、職住一致の中小零細工場、いわゆるブルーカラーが多く、管理的商業や専門的技術的職業の人が多く住む都心地域と比べて、平均給与で比較した際に、見劣りがしてしまいます。
50年前、都心と郊外区の地域では給与差は1.5倍程度でしたが、都心から工場が移転し続けたことで、都心のホワイトカラーの比率は拡大の一途。
それにより、都心と郊外の給与差は3倍にまで広がっていったのです。
このように東京23区だけに注目しても、給与の地域間格差が生じていること、それが就業構造の違いによるものだということが分かりました。
今後、街の変化によっては、都心とそれ以外の格差は縮まっていくかもしれません。