2022/07/20 09:15
平均給与433万円…世界主要33か国で「日本だけが賃金下落」という衝撃的な事実
日本人の平均給与433万円…この物価高に耐えられるか?
連日の物価上昇のニュースに、ため息しかでない今日この頃。
家庭で消費するモノ・サービスの値動きをみる5月の物価上昇率は、前年同月比の2.5%、生鮮食品を除くと2.1%。主な項目をみていくと、電気代は18.6%、ガソリン13.1%、生鮮野菜が13.1%。家計において大きいところでは、携帯通信料がマイナス22.5%。
専門家は携帯電話利用料の値下げの影響が一巡したことも大きかったと分析しています。
日本の物価上昇は8.6%のアメリカや9.1%のイギリスに比べると、まだまし、といった状況ではありますが、急激な物価上昇はやはり家計には厳しいものがあります。
また今回の値上げラッシュ、頻繁に購入するものほど変動率は高く、購入頻度がまれなものは変動率は低いという結果に。
そのためより物価上昇を実感することになっているようです。
今後、原料高に企業が耐え切れず、コスト上昇分を商品転嫁する動きは加速。
さらなる物価上昇が予測されています。
国税庁『民間給与実態統計調査』によると、2020年の日本人の平均給与は433万円。
男性正社員だけに限ると532万2,000円、女性正社員に限ると292万6,000円です。
正社員の平均的な賞与から考えると、男性正社員の月収はおよそ35万円、手取りにすると26万~27万円程度。
この給与水準で、今回の物価上昇を耐えるのは、少々厳しいといったところでしょうか。
もともと政府・日銀は2%の物価上昇を目標としていましたが、今回の物価上昇によって「目標達成」といかないことは、誰の目でも明らか。
今回の物価上昇は賃金上昇、需要増加という、プラス要素を伴わないものと日銀がいうとおり、賃金も物価上昇率以上にあがるという好循環があれば、この値上げも歓迎されるものになりますが、それは日本の現状を顧みると、あまりに非現実的だといえます。
物価上昇は年内いっぱい続くだろう、というのが大方の見方。
私たちは、ただただ耐えしのぐ以外の方法はありません。
1995年賃金=100とした際の「賃金上昇率」…あまりに無残な日本の順位
前述のとおり、物価上昇率以上の賃金上昇はあまりに非現実的です。
昨今の平均給与の推移をみても、そう断言するほか、表現が見当たりません。
「給与はあがるのが当たり前」という常識は、バブル景気の終了とともに完全の崩壊したといっていいでしょう。
戦後、サラリーマンが初めて給与減を経験したのは1993年のこと。この年、前年比99.5%と、わずかながら給与減を日本のサラリーマンは目の当たりにしました。
その後、同程度の給与水準をキープしますが、不良債権問題が本格化した1998年に、前年比99.1%と給与減を記録。
以降「8年連続前年比割れ」という緊急事態に陥り、さらにリーマンショックの余波が日本を襲います。
2010年代に入ると、アベノミクスによって賃金は上昇傾向にありましたが、次にコロナ禍が日本を襲います。
コロナ禍の経済回復も世界から遅れ、さらには今回の物価上昇で経済回復への期待も崩れ去りました。
日本において「賃金上昇」、その経験は忘却の彼方といったところでしょうか。
OECDの発表によると、1995年の賃金を100とした際の賃金上昇率で、対象33ヵ国でトップとなったのは「エストニア」で967.6。
「リトアニア」「ハンガリー」「メキシコ」「ポーランド」と続きます。
先進7ヵ国で比較すると、トップは「米国」で222.8
「英国」「カナダ」「フランス」「ドイツ」「イタリア」と続き、「日本」は圧倒的なビリ。
もちろん、対象33ヵ国の中でも圧倒的な最下位です。むしろ、この30年弱で唯一「給与減」となっているのは日本だけなのです
(関連記事:『世界ランキング「賃金上昇率」…世界主要国33ヵ国で比較』)。
賃金上昇=経済成長というならば、相対的な比較とはいえ、この30年弱、世界の主要国で日本だけが衰退しているといえます。
このように、この日本、世界的にみても、かなり危険な状況なのです。