北春日部周辺土地区画整理事業全体イメージ図=市提供
埼玉県春日部市北部、宮代町との境にある北春日部駅周辺地区の土地区画整理事業が始まる。
県の認可を受け、地権者らによる組合設立総会が12月10日、市内で開かれる。
都心から35キロ圏、駅近に広大な土地が広がる地域は県内でも珍しく、人口減が見込まれる中、次世代型のまちづくりがどのように進められるか問われる。
市や地権者は「魅力あるまちをつくりたい」と期待を寄せている。
■選ばれるまちに 再開発が行われるのは、国道16号の北側、東武北春日部駅西側に広がる約40・5ヘクタールの土地。
駅から800メートル圏内。
駅は東武線、東京メトロの始発駅。
隣の春日部駅周辺の駅高架化事業が進められており、将来両駅の利便性はさらに高まる。
農業が盛んな近くの内牧地区は、豊かな自然が広がり、都市部と緑が近い好立地になっている。
再開発の計画期間は10年。
住宅ゾーンには約千戸が建てられ3千人の居住を想定。
幹線道路、暮らしの質向上ゾーンなどが整備され、5年後から商業ゾーンの土地利用が始まる計画だ。
総事業費は104億円とされる。
12月に地権者らが土地区画整理事業組合を設立。
市、協力事業者などが連携し、具体的なプランを描く。
市まちづくり推進課は「活気にあふれ、誰もが住んでみたい、選ばれるまちを目指したい」と意気込む。
■慢性的混雑解消へ 現在、対象となる地域は田んぼや畑が広がる。
地権者120件の多くは農家だ。
土地区画整理組合仮組合の須田秀雄理事長は魅力あるまちづくりを計画的に進める必要性を説く。
「どう魅力をつくるかが課題。
子育て支援や目玉となる商業施設の展開、車を使わずに暮らしができるなど、さまざまなメニューを検討したい」と話す。
宮代側から通じる幹線道路の整備、隼人堀川に沿って設けられる調整池(約6・8ヘクタール)の活用など、まちづくりに向け具体的な計画は、これから策定される。
現在、周辺道路は宮代、白岡方面から国道16号、春日部地域に向かい慢性的に混雑が起きる。
約1キロ東側には国道4号が縦断するが、東武鉄道の車両基地、古利根川があり、東西のアクセスがない。
再開発を通じて、道路網の整備は住民にとって重要な課題だ。
須田理事長は「将来住む人が街をもっと発展させたいと思えるような魅力あるまちづくりを進めていきたい」と抱負を述べた。