2022/07/22 14:30
日銀 金融緩和策を維持 物価の見通しは+2.3%に引き上げ
日銀は今年度、2022年度の物価の見通しについて、エネルギーをはじめとした原材料価格の高騰などを背景に、前の年度と比べてプラス2.3%と、これまでのプラス1.9%から引き上げました。
また、いまの大規模な金融緩和策を維持することを決めました。
日銀は21日までの2日間、金融政策を決める会合を開いたのに合わせて、最新の経済と物価の見通しをまとめた「展望レポート」を発表しました。
それによりますと、今年度、2022年度の生鮮食品を除く消費者物価指数の見通しは、政策委員の中央値でプラス2.3%と、前回、ことし4月に示したプラス1.9%から引き上げました。
これについて日銀は、ロシアのウクライナ侵攻の影響でエネルギーや食料品、耐久財などの価格が上昇しているためだとしています。
日銀はデフレ脱却に向けて、2013年に2%の物価上昇率の実現を目標として掲げ、これを安定的に持続するために大規模な金融緩和を続けてきましたが、今回の見通しで、この目標に達した形です。
ただ、日銀は、原材料価格の高騰を要因とする、いまの物価上昇は、賃金の上昇や需要の増加を伴っていないことから、家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を通じて経済の下押し要因になるとしています。
こうした情勢を踏まえ、日銀は、短期金利をマイナスにし、長期金利をゼロ%程度に抑えるよう国債を買い入れる、いまの大規模な金融緩和策を維持することを、賛成多数で決めました。
そして、新型コロナの感染拡大の影響を注視し、企業の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努め、必要があればちゅうちょなく追加の金融緩和に踏み切るとしています。
松野官房長官「適切に金融政策運営行うこと 期待したい」
2022/07/21 10:41
日銀 あすから金融政策会合 物価見通し 2%台に引き上げの方向
日銀は20日から開く金融政策を決める会合で、原材料価格の高騰を受けて、今年度の物価の見通しを、目標とする2%台に引き上げる方向で議論することにしています。
一方、日銀は景気を下支えするため、大規模な金融緩和を維持する方向です。
日銀は20日から2日間、金融政策を決める会合を開き、景気の現状や経済と物価の見通しなどについて議論します。
このうち物価については、ロシアのウクライナ侵攻の影響で原油や小麦など原材料価格の高騰が続いていることから、今年度の物価上昇率の見通しを、前回4月に示したプラス1.9%から引き上げる方向で議論することにしています。
見通しが引き上げられれば、日銀が目標とする2%に達することになりますが、日銀は、原材料価格の高騰を受けた今の物価上昇は、賃金や需要の増加を伴っておらず、家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を通じて、経済の下押し要因になるとしています。
黒田総裁は、安定的な物価上昇に向けて景気を下支えするため、大規模な金融緩和を続ける考えを示していて、会合では、こうした方針が確認される見通しです。
また会合では、日米の金利差などを背景に急速に進む円安や、新型コロナの感染再拡大が経済や物価に与える影響などについても議論することにしています。
2022/07/20 09:15
平均給与433万円…世界主要33か国で「日本だけが賃金下落」という衝撃的な事実
日本人の平均給与433万円…この物価高に耐えられるか?
連日の物価上昇のニュースに、ため息しかでない今日この頃。
家庭で消費するモノ・サービスの値動きをみる5月の物価上昇率は、前年同月比の2.5%、生鮮食品を除くと2.1%。主な項目をみていくと、電気代は18.6%、ガソリン13.1%、生鮮野菜が13.1%。家計において大きいところでは、携帯通信料がマイナス22.5%。
専門家は携帯電話利用料の値下げの影響が一巡したことも大きかったと分析しています。
日本の物価上昇は8.6%のアメリカや9.1%のイギリスに比べると、まだまし、といった状況ではありますが、急激な物価上昇はやはり家計には厳しいものがあります。
また今回の値上げラッシュ、頻繁に購入するものほど変動率は高く、購入頻度がまれなものは変動率は低いという結果に。
そのためより物価上昇を実感することになっているようです。
今後、原料高に企業が耐え切れず、コスト上昇分を商品転嫁する動きは加速。
さらなる物価上昇が予測されています。
国税庁『民間給与実態統計調査』によると、2020年の日本人の平均給与は433万円。
男性正社員だけに限ると532万2,000円、女性正社員に限ると292万6,000円です。
正社員の平均的な賞与から考えると、男性正社員の月収はおよそ35万円、手取りにすると26万~27万円程度。
この給与水準で、今回の物価上昇を耐えるのは、少々厳しいといったところでしょうか。
もともと政府・日銀は2%の物価上昇を目標としていましたが、今回の物価上昇によって「目標達成」といかないことは、誰の目でも明らか。
今回の物価上昇は賃金上昇、需要増加という、プラス要素を伴わないものと日銀がいうとおり、賃金も物価上昇率以上にあがるという好循環があれば、この値上げも歓迎されるものになりますが、それは日本の現状を顧みると、あまりに非現実的だといえます。
物価上昇は年内いっぱい続くだろう、というのが大方の見方。
私たちは、ただただ耐えしのぐ以外の方法はありません。
1995年賃金=100とした際の「賃金上昇率」…あまりに無残な日本の順位
前述のとおり、物価上昇率以上の賃金上昇はあまりに非現実的です。
昨今の平均給与の推移をみても、そう断言するほか、表現が見当たりません。
「給与はあがるのが当たり前」という常識は、バブル景気の終了とともに完全の崩壊したといっていいでしょう。
戦後、サラリーマンが初めて給与減を経験したのは1993年のこと。この年、前年比99.5%と、わずかながら給与減を日本のサラリーマンは目の当たりにしました。
その後、同程度の給与水準をキープしますが、不良債権問題が本格化した1998年に、前年比99.1%と給与減を記録。
以降「8年連続前年比割れ」という緊急事態に陥り、さらにリーマンショックの余波が日本を襲います。
2010年代に入ると、アベノミクスによって賃金は上昇傾向にありましたが、次にコロナ禍が日本を襲います。
コロナ禍の経済回復も世界から遅れ、さらには今回の物価上昇で経済回復への期待も崩れ去りました。
日本において「賃金上昇」、その経験は忘却の彼方といったところでしょうか。
OECDの発表によると、1995年の賃金を100とした際の賃金上昇率で、対象33ヵ国でトップとなったのは「エストニア」で967.6。
「リトアニア」「ハンガリー」「メキシコ」「ポーランド」と続きます。
先進7ヵ国で比較すると、トップは「米国」で222.8
「英国」「カナダ」「フランス」「ドイツ」「イタリア」と続き、「日本」は圧倒的なビリ。
もちろん、対象33ヵ国の中でも圧倒的な最下位です。むしろ、この30年弱で唯一「給与減」となっているのは日本だけなのです
(関連記事:『世界ランキング「賃金上昇率」…世界主要国33ヵ国で比較』)。
賃金上昇=経済成長というならば、相対的な比較とはいえ、この30年弱、世界の主要国で日本だけが衰退しているといえます。
このように、この日本、世界的にみても、かなり危険な状況なのです。