2022/09/28 11:31

食品値上げ、年間2万品突破 今秋ピーク、収束見えず

食品の値上げが今秋の予定分を含め、年内の累計で2万品目を突破した。

 

主要食品メーカーの値上げ動向をまとめた帝国データバンクの最新集計で判明した。

9~11月の3カ月間に予定されている値上げは計1万品目に迫る勢いで、記録的な「値上げの秋」になる見通し。

原材料価格の高騰は収束しておらず、値上げは来年も続く可能性がある。

 

9月の値上げは2424品目。

1日以降、雪印メグミルクの「ネオソフト」(300グラム)は約43円上がり389円程度になる。

はごろもフーズの「シーチキンLフレーク」(70グラム)は11円アップの216円。

 

菓子類の値上げも多い。カルビーの「ポテトチップス」は、うすしお味(60グラム)が約15円高い155円前後に、江崎グリコの「ポッキーチョコレート」は9円高い171円になる。

井村屋は人気アイスの「あずきバー」を1本86円へ11円上げる。

 

10月には価格改定が加速し、月間で今年最多となる6532品目の値上げが計画されている。

 

食料品の価格高騰対策として、政府は10月以降、輸入小麦を国内製粉会社に売り渡す価格を据え置き、パンや麺類などの値上がり抑制を狙う。

このため、値上げはいったん落ち着く可能性がある。

 

しかし、中小の食品メーカーや配送業者の中には取引先からコストの吸収を求められ、価格転嫁できずにいる企業もある。

相次ぐ値上げで家計が節約志向を強めた結果、スーパー側も「1人当たりの購入点数が減った」「特売品しか売れない」などと余裕がなくなっている。

 

値上げの背景にある原材料価格高騰や原油高、円安が長引き、電気代や燃料費は高止まりしている。

帝国データの担当者は「コストの吸収にはいずれ限界が来る」と指摘、食品の値上げは来年も続くとの見方を示す。

2022/09/27 10:30

食品も家電もゲーム機も…止まらない円安が家計を直撃 9月だけで約2400品目値上げ【家計クライシス】

私達の家計を直撃する物価高をお伝えする「家計クライシス」。

きょうのテーマは「円安」です。

きょう、円相場は24年ぶりの円安水準を更新しました。

日本は多くのものを輸入に頼っているため、食品や家電などで値上げが止まらなくなっています。

 

記者

「円相場は24年ぶりの円安水準を更新しました。いよいよ140円の大台が近づいてきています」

 

きょう、急速に進んだ円安。

東京市場では一時1ドル=139円60銭台をつけました。

 

先週、アメリカの中央銀行にあたるFRBが金利の引き上げを続ける姿勢を鮮明にした一方、日銀は金融緩和を続ける姿勢を崩していません。

 

そのため、高い利回りが見込めるドルを買って円を売る動きが止まらないのです。

今年の初めからはおよそ25円も円安が進んでいて、私たちの家計にも大きな影響が出ています。

 

都内のホームセンター。

電気製品の売り場で話を聞くと…

 

「同じインチのテレビを買おうとすると、前は17万円くらいで買えたのが今は25万円」

「円安で高くて、なかなか(価格が)下がらないというので」

 

値上がりの理由は円安です。

家電は部品の輸入が多く、仕入れ値は現在、1月に比べて3割も上がっているといいます。

 

さらに、9月から値上げされる製品も多く、パナソニックがきょうからブルーレイ・ディスクプレイヤーやドライヤーなどの出荷価格を最大で33%値上げしました

また、15日からは「プレイステーション5」の希望小売価格が一気に5500円も引き上げられます。

 

ユニディ狛江店 中西 功副店長

「ここまでの大幅な値上げは過去に例をみない。今後も値上げは続いていくと思う」

 

円安は、原材料の多くを輸入に頼っている食品の値上がりにも直結します。

中でも、今月、新たに値上げが相次ぐのは菓子類で、「カルビー」と「湖池屋」はスナック菓子を中心に順次、値上げや実質値上げを行います。

ロッテは主力のチョコレートやガムなどを最大で17%値上げします。

 

「そこまで普段から食べて…食べてるかぁ。影響はあるだろうな」

 

帝国データバンクによりますと、今月中に値上げされる食品は2424品目で、値上げ幅は平均16%と大きくなりました。

 

ただ、円安による食品の値上げが本格化するのは来月以降で、10月には1か月で6000品目以上が値上がりする今年最大の値上げが見込まれています。

 

「値上げされるということで、買ってあげられる量が減ってくるかな」

「嫌だ、残念です」

 

円安が1ドル=140円台前半まで進むと、家計の負担が1年で7万8000円あまり増えるという専門家の試算もあります。

止まらない円安に家計の危機は深まる一方です。

2022/09/26 13:27

回転寿司「一皿100円」は“風前の灯” 8月以降にさらなる値上げの可能性も

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コロナ禍で外食産業は壊滅状態。だが善戦を続けたのが回転寿司だ。

帝国データバンクによれば、大手チェーン中心の国内回転寿司市場(2021年、売上高)は、10年前の1.6倍、前年から約600億円増の7400億円超になるという。

「一皿100円から」という庶民的な価格への吸引力はコロナ禍でも衰えず、週末になれば多くの家族連れでにぎわった。

収入が減っても家族揃って行ける数少ない“ハレ”の食事が回転寿司なのだ。

この7400億円市場のパイをめぐり、利益確保に各社がしのぎを削っている。

 だが、そこにウクライナ戦争に端を発する原油高、輸入原材料の調達不安が襲った。

インパクトをもって受け入れられたのは最大手スシローの発表。10月から多くのメニューの値上げを5月9日に表明したのだ。

 スシローは10月から税込110円の黄皿を120円にすると発表。

これにより創業以来38年続いた「税別100円」の寿司に幕を下ろす。

スシロー広報担当者はこう説明する。

「原材料費、人件費、地代・家賃、建築費など様々なコストが高騰していることが大きな要因です。

そのなかで“うまい寿司”をご提供し続けるため、やむなく価格改定に至りました」

 実は、低価格商品にはウクライナ戦争以前から値上げ圧力が高まっていた。

回転寿司評論家の米川伸生氏が解説する。

「同社に限らず税別100円で出ていたマグロやイカなどの定番ネタは仕入れ値が以前から高騰、儲けがまったくない商品だった。

そこに戦争や原油高、円安など顧客に値上げの理解を得やすいタイミングが来たということです」

 くら寿司、かっぱ寿司は取材時点で値上げの予定はないとしたが、はま寿司は6月26日から1皿308円の商品群を319円に値上げすると発表。

ただし、110円、165円の主力メニューは据え置きにする。

 とはいえ円安で調達価格が苦しくなるのは必至。

今後、さらなる値上げは不可避なのだろうか。

「ウクライナ侵攻は2月からなので各社とも、その半年先の8月くらいまでは在庫があるはず。

それがなくなれば、別の調達先に切り替えるため、どこのチェーンも値上げをせざるを得ないでしょう」(米川氏)

 もはや税別100円の寿司は“風前の灯”なのだ。

「どのチェーンもグランドメニューを減らしフェア商品で商品層を厚くする戦略に出ている。

価格も150円、200円が当たり前。

消費者も付加価値を求めるようになっており、 値段を売りにすると逆に淘汰される恐れもある」

2022/09/21 10:52

物価上昇でもう限界?100円ショップは「100円均一」を維持できるのか

 

日本経済が長期低迷する中、順調に市場を拡大してきた100円ショップのビジネスが曲がり角を迎えている(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

2022/09/12 11:10

【消費税12%、医療費6割負担…防衛費5兆円増で生活苦の未来】

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「防衛費の相当な増額を確保する決意を表明し、バイデン大統領から強い支持を得た」

 

523日、バイデン大統領との会談後の記者会見で、岸田文雄首相は胸を張りながらこう語った。

 

政府は、67日に閣議決定した「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」で、ロシアのウクライナ侵攻などに触れ、日本周辺の安全保障環境が厳しさを増しているとして《国防予算をGDP(国内総生産)比2%以上》を目指すと明記した。

 

’22年度の防衛費はGDP比約1%で約54000億円。これを2%にした場合、あらたに5兆円が必要となることにーー。

 

「防衛費を倍増することで、日本は、アメリカ、中国に次いで世界で3番目の軍事費支出国になります。軍隊を持たないと世界に宣言している国が軍事大国になってしまうのです。

しかも、そのしわ寄せは確実に家計に及びます」

 

そう語るのは「暮らしと経済研究室」主宰の山家悠紀夫さん。

 

国債頼りは危険。しわ寄せは家計に

 

防衛費の倍増の財源は明らかになっていない。安倍晋三元首相は「(国の借金である)国債で対応すればいい」と語っているが……

 

同志社大学の浜矩子教授(国際経済学)がこう憤る。

 

すでに現在の国債発行高は、第二次世界大戦時と同じレベルです。

軍備増強のために、国債を発行することは憲法違反の可能性も。

忘れてはならないのが国債の返済にはその分の金利を支払う必要があること。

今はほぼゼロ金利ですが、今後、インフレや円安などから金利が上がる可能性も少なくない。

財務省によると、国債の金利が1%上昇すると2年後の年利払いは3.7兆円増えると試算。その負担は、国民にのしかかってくるのです。

 

国債に頼らない場合、別の予算からの付け替えが予想される。前出の山家さんが語る。

 

声が大きくないところから予算の削減をするのが今の政府の特徴。

狙うのは年金、医療、福祉など社会保障費です。

たとえば高齢化により医療費自体を抑えることは難しいなか、国民の自己負担を増やしていくしかない。

防衛費が増額した5兆円分をそのまま医療費に換算すれば、医療費の窓口負担3割の人が、6割負担になる試算もあります。

さらに、今でさえ年々減額されている年金受給額も、5兆円分をそのまま充てることになれば、現在約4000万人の受給者の年金が年12万円減額します。

 

 より現実的なのが消費増税だ。

 

かりに防衛費の倍増分を税収でまかなうためには、2%の消費増税が必要に。

それでも欧州に比べて消費税率が低いことから、経団連からも19%に引き上げろと圧力があります。

防衛費のGDP比をNATO(北大西洋条約機構)並みに引き上げようとしている岸田首相が、消費税も欧州並みにという理由だけで、消費税12%に引き上げても不思議ではありません」

 

政府はただ国民を不安に陥れている

 

そうなると、家計は苦しくなる一方だろう。

 

ところが、先月、毎日新聞が行った世論調査では、防衛費について「大幅に増やすべき」との回答が26%。

「ある程度」の回答も合わせて8割弱が増やすべきだと答えた。

 

早稲田大学の水島朝穂教授(憲法学)が語る。

 

「これは不安感に便乗する政府の常とう手段の影響です。

たしかにロシアのウクライナ侵攻、弾道ミサイルの発射実験を続ける北朝鮮や軍事的活動を活発化する中国などを脅威と感じる人はいる。

しかし、その脅威を客観的に捉えることなく、政府はただ危機をあおりたて、国民を不安に陥れて防衛費の増額を画策しているのです」

 

この防衛費の倍増は、日本のためにもならないと語るのは、上智大学の中野晃一教授(政治学)だ。

 

「岸田首相がバイデン大統領に語った決意は、増額した防衛費で『アメリカからたくさん武器を買います』というもの。

潤うのは国民ではなく、アメリカの軍需産業です。

保育や教育など社会保障に税金を使う人への投資は、いずれ税収が増えたり、納税者人口が増えたりするなどの相乗効果が期待できます。

ところが、防衛費を増やして、武器を買っても雇用も生まれず、維持費だけがかかる。私たちの経済や暮らしが好転していくことはないのです」

 

最後に前出の水島教授が語る。

 

「岸田首相は、防衛費の倍増の財源や中身を示さないまま710日の夏の参議院選挙に突入していきます。

つまり有権者たちは判断材料が不十分なまま1票を投じることに。

不安だからと投じた票によって、次の国政選挙があるまで思いどおりにできる黄金の3年間を政府に与えてしまうことも。

防衛費の倍増が、生活や暮らしをどれほど締めつけ、どのような事態を招くのか、立ち止まって想像してみてください」

 

上昇し続ける物価、上がらない賃金。国民の生活を第一に考えるのならば、軍備拡張よりも優先すべきことがあるだろう。